望遠鏡


飲んでいる隣で
セネガル出身の黒人さんと
コンゴ出身の黒人さんと
アメリカ人の黒人さんが
熱く討論している
英語なので
細かい部分までは確かではないけれど
ヒートアップして来た辺りからはこんな感じ
「じゃあ君の敵は誰だ
白人か
日本人か
それとも中国人か!?」
「ぼくは敵は欲しくない」
「僕は黒人だ
君の敵は誰だ!?」
「ぼくはひとりの人間としてここにいる
ぼくはみんなと語り
みんなとわかり合いたい」
「だけど君は黒人だろ?」
ここまでは
black
という言葉を使っていたのだが
そこで
「だろ nigga」

niggaという単語が初めて出てくる
するとこんな答えが返ってくる
「Don't call me nigga
this is my policy
i'm black
and i'm your friend
but
don't call me nigga」
うん
正直
ぼくはずっとblack musicが好きで
文化として
hiphopと触れて来たはずだ
でも
やっぱり
僕らには決してわからない部分があるんだなと
まだ僕がドレッドだった頃
酔ってお客さんに絡む黒人さんに
注意したことがある
そのとき言われた
「どうせ俺が黒人だからだろう
白人だったらそんなことは言わないはずだ」
という台詞を聞いて
自分のドレッドをひきむしりたくなったことがある
黒人さんの音楽が好きで
文化が好きで
踊りが好きで
hiphopという文化を
いっぱい愛して生きて来た
でも
なんというか
決してわかりきれない部分があると
やはり思う

ファッションを真似して
日焼けサロンで肌を焼いて
ニューエラを深く被り
ちょっと小首をかしげて
身振りそぶりを真似したりする

それはそれでいい
好きだし
そこにはほとんどの場合
愛があるから

でも
光り輝く表があれば
その裏側の部分も必ず存在する

僕が全てを知っている訳では全然ない
だがやはり
そんな僕からも
ちゃんと
色々な部分に目を向けて欲しいと思う

義務教育に
hiphopという言葉が使われるようにまでなった今
「大好きだけれど
決して理解しきれはしない」
ということを
ちゃんと心に留めながら
明日も踊りを通して
大好きなhiphopをしたいと思う


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