噛むんとふにゃんふにゃん


かにかまナウ
目が覚める
昨日までの暑さに比べて
少し涼しい朝
ゴミを出しに寝ぼけ眼で家を出たら
目の前のアスファルト
チョークで太い矢印が書いてある
南をまっすぐ指した白い矢印
最近越してきた近所のちびっ子達の仕業かなあ
なかなかいいねこれ
そう思いながらぼんやり
チョークが指し示すその先の角を見ると
十字路の
その真ん中に
やっぱり
チョークでまた次の矢印が書いてある
段駅に向かう方向とは
逆の道
東を指す矢印
少し遅めの朝で
もともと人通りの少ない通りには
人の姿は見えない
と思ったのとほぼ同時くらいに
角の家からいつものにゃんこが
通りを悠長に横切る
それにつられるように
ゴミを集積所に置いて
鍵のかかっていない我が家をチラッと一瞥して
とりあえず
15メートルほど先の
角の矢印へと向かってみる
矢印
子供のいたずら描きのようで
よく見ると
有名デザイナーがかいた洗練された意図のあるデザインのようにも見えなくもない
矢印の指す方向
朝のひかりではっきりとは見えないけれど
どうやら少し先の十字路にも
矢印らしきもの
おまけに
さっきのにゃんこが
そのわきにちょこんと座って
のんびりと自分の体をなめている
もう一度
鍵のかかっていない
エアコンもつけっぱなしの我が家を振り返る
そしてもう一度
矢印と
猫を見る
あの十字路の先には
何があったっけ
段駅に向かうのと別な道
もう一度だけ我が家を見て
今のところ人通りのないのを確認して
少し小走りで
矢印のもとへ向かう
気付くとにゃんこはもういない
矢印
先の二つと同じ
白いチョークで書かれた矢印
再び南を指す
その先に目線を向ける
・・・

なんだあれ・・・

え?
あれは・・・