はくちょうのくしゃみ


はくちょうは
うそをついたり
だれかをきずつけたりすると
そのたびに
からだのどこかが
くろくなる
よるのように
くろくなって
どんなにごしごしあらったって
とれやしない
そうやって
くろいぶぶんがすこしずつふえてきて
くろいぶぶんが
すこしずつ
すこしずつふえてきて
きがついたら
あるひ
じぶんはくろいぶぶんのほうがおおい
もはやおひさまのひかりをあびて
しろくひかりかがやく
はくちょうではなくなっていることにきがついて
なんだかとてもはずかしくなった
はくちょうは
よるのなかでいきることにした
けれども
けれども
よるのなかでいきるには
はくちょうの
ほんのすこしだけのこった
そのしろくひかりかがやくぶぶんが
ほんのすこしだけど
あまりにしろくて
まぶしくて
きらきらしていて
それはよるのやみでさえ
とうていかくしきれず
よるにもとけられず
おひさまのしたにもでられず
はくちょうは
よるとひるのあいだを
ひたすらとんだ
おひさまとつきのあいだを
ひたすら
よるのやみも
おひさまのひかりもとどかない
ちょうどまんなかを
おひさまをおいかけて
よるをおいかけて
おひさまからにげて
よるからにげて
とびつづけて
とびつづけて
くろくも
しろくもなれず
・・・
はくちょうは
いま
びんのなか